企業のCSR/SDGs

エシカル消費から学ぶ企業CSRのヒント。

今後、企業の明暗を分けていくもの。

最近、「エシカル消費」という言葉をオシャレな女性誌などでも見かけるようになりました。

エシカルとは「倫理的な」という意味。

たとえばフェアトレード品(公正な貿易)から、フェイクファー(動物福祉)、最近では紙ストロー(環境問題)など

社会や地球環境、人権などに配慮したものを選んで消費することで、

全員もれなく消費者である、人間ひとりひとりの身近な行動を通して、社会課題を解決していこうという考え方です。

で、これとよく似たものに

たとえば震災や台風などの災害があったときに、

その被災地を応援するために、その被災地を旅行したり、その被災地の生産品を購入したりする

「応援買い」というものがあります。

もしかしたら、応援買いの方が身近に感じたり、経験がある方も多いかもしれません。

いろんな理由でピンチに陥ったアーティストのCDをみんなで買おうとか、そんなことも応援買いには入るでしょう。

単発の寄附にも近いものがあります。

では、「エシカル消費」と「応援買い」の違いって何だかわかりますか?

実はここの違いを理解することが、社会的価値のある商品をつくること、ひいては企業が社会的役割を果たすためには必要不可欠なんです。

単発で終わるのか、持続可能なのか。

この2つの違い、結論から言うと

応援買いは「単発」で「一時的」。

エシカル消費は「持続可能」。

どういうことか説明していきますね。

まず応援買いは、先ほどお伝えしたように

「何か応援したくなるようなできごとがあって」

そのときに盛り上がる行動だということです。

災害地支援もそうですし、存続が危ぶまれる施設を救うためにとか、バッシングされてしまったアーティストを応援するだとか。

これらが物理的にも精神的にも、応援される当事者にとって大きなチカラとなるのは事実です。

クラウドファンディングもそうですね。

「この期間、どうしてもあなたの応援が必要です!!」という呼びかけ方になります。

ただその反面、継続は「しにくい」です。

想像してもらえるとわかると思いますが、

何ヶ月も何年もその被災地の生産品を消費し続けるわけではないだろうし(そういう方もいるでしょうが)、

応援のために旅行に訪れるとしても回数には限界があります。

応援のためだけに、ある企業の商品や、あるアーティストの作品を買い続けられるわけでもないと思います。

では、「エシカル消費」の方はどうでしょうか?

こちらは

社会や地球環境、人権などに配慮したものを選んで消費するという身近な行動を通して社会課題を解決していこうという「考え方=価値観」なので、

一度その価値観を取り入れる事を選択すれば、

その後ずっと継続して、その価値観にもとづいた行動を取り続ける事ができることになります。

必要なのは、新しい価値観を提供する事。

ここまで読んでいただいた方はお気づきかもしれません。

応援買いは「行動」で、エシカル消費は「価値観」です。

行動は一瞬で終わってしまいますが、価値観はその人自体に影響を与えますので継続します。

その人の日常や人生自体に入り込み、ありとあらゆる活動を行っているときにもその価値観は常にその人に影響を与えています。

ビジネスで例えてみましょう。

現代ではヒトの隙間時間の奪い合いが行われており、

動画配信サービスを観るのか、いやスマホゲームをやるのか、SNSを見るのか、最新の商業施設に行くのか。

みんな、限られた時間の中で自分の商品やサービスを使ってもらおうと

「行動」を求めて競い合っているのですね。

で、それはそれで全然悪い事ではないんですが

一方、「価値観」を提供する事ができるビジネスはこうです。

たとえば
「ネットを通じて自分の考えを発信する事は、自分の世界を広げてくれる」という価値観を元に、

「気軽に情報発信ができるプラットフォームと、拡散しやすい仕組みとわかりやすい評価制度やコンテストやスカウト制度」

などを提供するサービス会社があるとしますね。

ここのサービスを利用して

「ネットを通じて自分の考えを発信する事は、自分の世界を広げてくれる」という価値観をインストールした人は、

その後ずっと、何らかの情報発信を続けていく人生になる可能性が高いと思います。

そうなるとそのサービス会社は、

その人の単発的行動を促した、だけでは終わらず

その人の人生全体に影響を与える価値観を提供した、ということになります。

ビジネスで例えると今の例のようになりますが、

企業がCSR事業を考えるときや、NPOが寄附集めをするときも、考え方は一緒なんです。

企業のCSRや社会的役割のヒントはここに。

話は飛びますが
企業がCSRに取り組もうとしてもそれが単発や短期間になってしまうのは、

CSRと本業を分けて考えているからです。

たとえば身近なところでいうと地域清掃とか、小学校への出前講座とか、もしくは地域イベントへの協賛とか。

(付属的にやるのは大賛成ですが、それだけでは足りないと思うということです。)

もし本当にその企業が自分たちの社会的役割や社会的価値を考えようと思ったら、

一番大切である「本業」に載せて、明確な価値観を発信していくことが必要だと考えます。

難しい話ではないです。

たとえば洗濯機が開発されたのは、

それまで手を真っ赤にして洗濯板で洗濯をしていた人(主に女性ですね)を重労働から解放するためでした。

そしてそれだけでなく、「女性が重労働を伴う家事を行うのは当然」であるという古い価値観を塗り替える一助となっていったのですね。

(現在のさまざまな調理器具だって、そうなのかもしれません。)

せっかくモノを買う、サービスを受けるという「行動」を消費者に促すなら、

そこに「価値観」を載せればいい。

この商品やサービスを通じて、こんな世の中になってほしい、という価値観を軸にして本業を行えば

あえて本業とCSRを分けて考えなくても、あなたの会社は社会的役割や社会的価値をちゃんと発信できるようになります。

そして

「この商品やサービスを通じて、こんな世の中になってほしい」

この企業の価値観を表すものこそが、理念(ビジョンやミッション)なのです。

エシカル消費を取り入れた事業は、社会課題×ビジネスのお手本。

お客さんの価値観に影響を与えながら行動を促し、自社の利益を伸ばすことができます。

「うちの本業にとってのエシカル消費って、何に当たるかな?」

という問いをぜひ考えてみてくださいね。

山崎 梨紗